比較に囚われてしまう
こんにちは、副住職です。
インフルエンザが大流行していますね。
我が家でも次女(小2)がA型になってしまいました。
先日の土曜日の夜中から熱が出はじめたので、日曜日の午後に休日急病診療所に行ってきたのですが、予想通りインフルエンザということで薬を処方してもらいました。
薬を飲んでずいぶん楽になったようで一安心です。
月曜日の朝に小学校にお休みの連絡を入れたのですが、その週末でかなりの子どもたちがインフルエンザに罹ってしまったようで、なんと次女の学年は学年閉鎖、長男(小4)の学年も学級閉鎖になってしまいました。
今のところ家族では次女以外には症状は出ていませんが、手洗いとうがいを徹底しないといけませんね。
みなさまもお気をつけください。
さて、またしても私の状況ですが、年末の診察での先生の見解として「骨折してしまう原因が外的要因ではなく、なんらかの病気の可能性があるのではないか」ということでした。
そこから血液検査などいろいろな検査をしていただいていたので、その結果を聞いてきました。
血液検査、尿検査を一通り、そして追加で甲状腺の検査と腫瘍マーカー(ガンの検査で今回は前立腺ガン、肺がんについて)検査をしていただいたのですが、結果は・・・
まったく異常なしでした。
ああ、よかった、これで次に進めるかな、と思ったのですが、やっぱり先生がおっしゃるには「原因がはっきりしないと何もできない」そうで、じゃあどうするのかと思えば「もっと大きな病院を紹介しますので、そこで検査をしてもらってください」とのこと。
「この病院での検査はあくまで基本的なものしかできないので、もっと専門の病院で検査をしてもらってほしい」というお話しでしたが・・・。
正直なところ「だったら最初から大きなところを紹介してくれればいいのに」であったり、「詳しい検査をするのはいいんだけど、それまでに、もし本当に病気としての原因があったとして、また骨折箇所が増えたらどうするんだろうか」であったり、複雑な心境です。
一番困るのは、これからまたいろいろな検査をやって”異常なし”となった場合で、けっきょく原因が分からないのでなにも手をうつことができないとなってしまうことなのですよね。
なにか原因が分かったら、まずはそれに対して治療するなりして、それから次につなげることができますし。
原因がよほど重篤なものであれば、それはそれで困りますし、そんな大変な原因があって骨折しやすくなっているのであれば、今までにどこかしら骨折をしていると思うのですが、人生初の骨折がこんな具合になってしまうとは困ったものです。
ということで、いろいろ検査をしていて、その結果どんどん自分の身体が健康であることが分かっていくという反面、骨折の原因はまだまだすっきりとはいかないようで残念です。
そんなこんなで病院通いが続いていますが、病院にはいつもたくさんの患者さんがいます。
私は整形外科に通っているのですが、患者さんの多くはやはりケガをされている方が多いようです。
車イスの方や松葉杖の方であったり、私のようにどこか身体が痛いのでしょう、ぎこちなく歩いている方など、みなさん本当に大変そうです。
そういう方々にお会いすると思うのですが、もはや一緒にケガと戦う同志ですね。
「一緒にがんばっていきましょうね!」と声には出さずとも心の中で語りかけています。
そんな「お互いにがんばろう」という気持ちになると少し前向きな気分になってありがたいのですが、それと同時にこんな気持ちにもなってしまうことがあります。
「あの人は私よりケガが重そうで大変だな、あの人よりは自分はまだマシだな」
こんな気持ちです。
自分と他の患者さんとを比べてしまっているのですね。
そして(無意識ではありますが)相手を自分より下に見てしまうという心理状況。
どうですか、みなさんも経験あるのではないでしょうか。
病気やケガのときだけではなく普段の生活の中でもそうなのですが、自分と周りの人とを比べてしまうことってよくありますよね。
実はこういった「自分と他人を比較する心理」というのは心理学で「社会的比較」といって、アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーさんが提唱した理論なのだそうです。
人は誰でもそうなのですが、自分の能力や状況をできるだけ正しく把握したいと考えているために、自分と周りの人とを比較することで、その社会の中での自分の立ち位置を確かめようとする、という理論です。
考えてみると、確かに私たちはあらゆることを(人であれ物であれ)他者と比べることで自分自身という存在の状態を把握しています。
例えば「背が高い、低い」「痩せている、太っている」といったことがありますが、実はこれも自分と他社を比べているからこその表現なのですよね。
自分以外に比較する対象がいなければ、はたして自分が背が高いのか低いのか、痩せているのか太っているのか、そんなことは分からないからです。
ここで人がすごいところは、その「比較する対象」を無意識に選ぶ傾向があるということです。
今の私は、ケガをしていること、そして、そのケガがなかなか治らないことに、とてもネガティブな気持ちになっています。
そのようなときには「自分よりもケガの状態が悪そうな人」を比較対象に選び、その人よりは自分はいい状態であると思うことで、ネガティブな気持ちを打ち消そうとしているらしいです。
これは社会的比較の中でも「下方比較」といい、ストレスを受けている自分自身をなんとかして立て直そうとしている自己防衛的な心理状態なのだそうです。
なるほどな、と今の自分自身の状態を考えて納得してしまいました。
そしてまた、無意識に自分のストレスから身を守るためとしても、そこまで他者との比較ということに囚われてしまうというのはなかなか怖いものだとあらためて思いました。