白いカラスの非存在証明

こんにちは、副住職です。

今週末は寒かったですね。
このあたりでは雪が降るまではいかなかったですが、これからますます寒くなってくると思うと、考えただけで身体が縮こまってしまいます。

インフルエンザ、風邪などにお気を付けください。

そろそろ「またか!」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、申し訳ありません、本日も圧迫骨折のお話しです。

一通りの検査の結果、まったく異常が見つからず、骨折の原因も分からないことから、もっと大きな病院で検査を受けてみてください、ということでしたので、さっそくご紹介いただいた病院へ行って検査をしてきました。

今度の病院は、整形外科ももちろんあるのですが、専門は「がん・感染症」です。
一般の病院よりももっと詳しい検査ができるということと、整形外科で背骨に関しても症例が多いそうで、ここなら何か分かるかもしれないということでのご紹介でした。

今回の先生は開口一番「交通事故にあったみたいですね!」とおっしゃっていました・・・。

そして何度目かの採血と採尿、そして全身CTを撮影して、いざ検査結果は?!

まったく異常なしでした。

先生も驚くほど「なにも無し」とのことで、ますます私の身体が健康であることが証明されたわけです。

でも「異常なし」ということは、つまりは骨折の原因もやっぱり分からないということで、こちらに関しては前回の更新にも書いたように一番困る結果なのです。

次にどうしたらいいか分からない。

これだけ検査をやって異常がないのだから「骨折の原因=骨の強さ、もろさに関しては異常なし=複数箇所の骨折については打ち所が悪かった」でいいのではないかと思うのですが、この病院の先生も「それは断言できない」とのこと。

骨の強さについては「密度」と「質」によるそうで、「密度」については骨密度の測定、「質」については血液検査によるカルシウムの状態から推測されるそうなのですが、この二つとも異常がないことが分かっています。

ですが、その測定データとしての結果があるにも拘わらず、今回の症状である「複数箇所の圧迫骨折」という客観的事実から「骨の強さについて異常がない」ことは”あり得ない”という考え方です。

こういった「ないこと」の証明は一般的に「悪魔の証明」ともいうように、非常に困難なもので、ほとんど不可能なものなのですね。

例えば「白いカラス」を考えてみます。

「白いカラスがいることを証明する」となった場合、白いカラスを一羽でも見つけることができれば証明できます。

でも反対に「白いカラスがいないことを証明する」場合、世界中をくまなく隅々まで探し、存在するすべてのカラスを捕まえてきて白いカラスがいないことを証明しなければいけません。
これはほぼ不可能です。

これまでの先生方のおっしゃることも分かります。
少しでも疑念があるかもしれないことに対して「問題ない」とした場合に、その後にもしかして問題がでて苦しむのは患者である私自身です。
ですから先生方も少しでも疑念があることに対しては、追求すべきであると考えてくださっているのですよね。
それは分かるのですが・・・。

ということで、おそらく最後になりますが総合診療科という内科系の先生に見ていただいてご意見をいただくことになりそうです。

また、現状では背骨がとても曲がってしまっている(といっても元々は背骨はS字カーブをしているのですが、それが逆方向に曲がってしまっている)ため、腰にとても負担がかかってしまって痛いことと、姿勢がぜんぜん安定しない、力が入らない、などの問題があります。

これを治すには手術をして背骨を矯正するしかないので、やはり手術を考えていました。

今回は手術に関しても先生と少しお話しできたのですが、今のところ私としては手術はできない、手術しないほうがよさそうという考えになりました。

背骨を矯正する場合、すごく簡単に説明すると、背中に鉄の柱を一本入れて、そこに曲がった背骨をネジ止めしていくことで背骨をまっすぐにするのですが、その結果として背骨はまっすぐになるのですが、まっすぐにしかならなくなってしまいます。

背中に鉄柱が入ってしまうことで、(当たり前ですが)背中を丸めたり伸したりといったことが一切できなくなるそうです。
ずーっと背筋がまっすぐな状態から動かせなくなってしまう、そして振り返ったりする動作にも制限がでてくるとのこと。

さすがにそれで生活していくのは想像できません・・・。
(同じような症状でこういった対応をとられている方、いらっしゃるのでしょうか・・・)

そして、手術をするにしてもしないにしても、骨を強くする治療をしたほうがいいとのこと。

骨折の原因である骨の強さ、もろさについて「問題があるかないのか分からない」のに、です。

その治療は定期的に薬を注射をしていくことで行われるのですが、治療期間がだいたい二年間、毎週1回病院で注射するか、もしくは毎日自宅で注射をするか、どちらかだそうです。

これもなかなかにハードルが高いですし、お金もかかるので、なかなか受け入れられないです。

原因究明や手術に対して漠然とですが「なんとかなるかなぁ」と思っていたのですが、けっきょく原因は分からないし、手術は現実的ではないし、必要なのかどうかよく分からない治療を長期間することになりそうだったりで、今回の骨折をしてしまってから、初めて、落ち込んでいます。

困った、どうしよう。

 江東区扇橋にあるお寺
 浄土真宗本願寺派 西岸寺(さいがんじ)