出偶えた喜び(6)

子どもたちみんなそれぞれがそれぞれで楽しんいる。

そのことを実感したのは入学して初めて経験した運動会でした。

学校では、小学校四年生から六年生までの上級生は全員参加でのリレーをやるというのです。

この話しを聞いたとき、最初に思ったのが「この子たちにリレーをやらせるなんて大丈夫かな」ということでした。
なにしろ、この学校は肢体不自由の子たちの通う特別支援学校です、
身体を自由に動かせる子のほうが少ないのですね。

でも実際にリレーが始まった途端、そんな心配は必要ないんだと思いました。

拙くても歩ける子どもたちは自分の足で走ったり歩いたり、松葉杖の子は松葉杖を使って、車椅子の子は車椅子で、自分で身体を動かせない子は先生が一緒に。
みんなそれぞれの方法で一生懸命走って次の子どもにバトンを渡していくのですね。

走っている子どもたち、それを応援している子どもたち、先生、保護者、その場にいる全員がみんな笑顔で「頑張れー」と大声を張り上げて応援していました。

障害を持っている子どもたちの学校なので、ひょっとしたら当たり前といえば当たり前のその光景に私は目を奪われてしまいました。
それこそ、声援を送ることを忘れてしまうくらい。

リレーや、その他の競技では、運動会ですから勝敗を競うわけです。

でも、誰もその中でナンバーワンなんて目指していないのですよね。
ナンバーワンを目指したり、競争して誰かと誰かを比べる、そんなわけでもなく、みんなひとりひとりがオンリーワンの存在なのだ、そんなことに気が付いたのでした。

 江東区扇橋にあるお寺
 浄土真宗本願寺派 西岸寺(さいがんじ)