去年の読書目標と結果

こんにちは、副住職です。

個人的な2018年の目標としていた「一ヶ月に1冊は本を読む」ことですが、前回、このことについて「9月が終わった時点で12冊読むことができた」と書きましたが、結果的には13冊を読むことができました。

一年を通して平均したら一ヶ月に1冊、にはなったのですが「必ず一ケ月に1冊」ということは残念ながら達成できませんでした。

11月に13冊目をなんとか読み終わったのですが、それ以降は(またしてもこれですが)腰の具合が悪くなってしまい、とても電車の中で本は読むことができませんでした。

それでも1年間で13冊という数は、自分としては、なかなかよくやったという感じです。

ということで、その13冊を紹介してみたいと思います!

読んだ順です。

『ルーズヴェルト・ゲーム(講談社文庫)(著者: 池井戸潤 発行日:2014年3月14日 出版社:講談社)』

『孤独の歌声(新潮文庫)(著者:天童荒太 発行日:1997年2月28日 出版社:新潮社)』

『プラチナデータ(著者:東野圭吾 発行日:2010年7月1日 出版社:幻冬舎)』

『みんなの寺の作り方―檀家ゼロからでもお寺ができた!(著者:天野和公 発行日:2011年10月1日 出版社:雷鳥社)』

『桐島、部活やめるってよ(著者:朝井リョウ 発行日:2010年2月5日 出版社:集英社)』

『Ank: a mirroring ape(著者:佐藤究 発行日:2017年8月23日 出版社:講談社)』

『マーケット感覚を身につけよう—「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法(著者:ちきりん 発行日:2015年2月20日 出版社:ダイヤモンド社)』

『物語のある広告コピー シリーズ広告編(発行日:2014年7月25日 出版社:パイインターナショナル)』

『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後(著者:三浦英之 発行日:2015年12月15日 出版社:集英社)』

『持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない(著者:pha 発行日:2015年5月26日 出版社:幻冬舎)』

『謝るなら、いつでもおいで(著者:川名壮志 発行日:2014年3月26日 出版社:集英社)』

『笑うお葬式(著者:野沢直子 発行日:2017年10月12日 出版社:文藝春秋)』

『未来を切り拓くための5ステップ: 起業を目指す君たちへ(著者:加藤崇 発行日:2014年4月18日 出版社:新潮社)』

最終的に、小説が5冊、そしてエッセーやルポ、実用書といったノンフィクション系が8冊でしたね。

なにかそのときに手元にあったり、図書館でたまたま借りて読んだ本が半分、これを読みたいと思って読んだ本が半分くらいです。

この中で一番印象に残っている本を挙げるなら『謝るなら、いつでもおいで』になります。

この本は2004年6月に起きた「長崎県佐世保市女子児童殺害事件」を追ったノンフィクションルポで、著者が極めて被害者とその家族と親しい近い関係であるということがとても特徴的です。

事件の被害児童は当時小学六年生の女の子、そして彼女の父親は新聞支局に勤めるベテラン新聞記者であり、著者はその部下、被害者家族は支局の上の階に住んでいて、著者ともご飯を一緒に食べたり、常に交流がありました。

なので、著者が「なぜ事件は起きたのか」を取材していくことも極めて被害者に近い目線で、だからこそ被害者家族の心情にも通じ、そして加害児童(被害児童と同じクラスの女の子)の親との交流ということにもつながっています。

題名である『謝るなら、いつでもおいで』というのは、実は被害児童のお兄ちゃんの言葉です。(文庫版ではないハードカバー版の題名はお兄ちゃんの直筆です)

被害児童の兄として、加害児童に対して抱いた「謝るなら、いつでもおいで」という気持ち。

著者だからこそ触れることのできた被害児童家族の深い心情であるけれど、驚くことに、この言葉に込められているニュアンスは、決して加害児童を責めているものではなく「許し」なのです。

ここに至るまで、どれだけ長く深い苦しみ、悩みを彼は思いつづけたのでしょうか。
当事者ではない私には想像もできません。

このお兄ちゃんの心情を思うたびに、大人である私は、子をもつ親として、そしてなにより仏教者として、次の世代を生きる子どもだちに、もっともっとできることはあるのではないかと考えています。

 江東区扇橋にあるお寺
 浄土真宗本願寺派 西岸寺(さいがんじ)